限界研blog

限界研の活動や記事を掲載します。

2012-01-01から1年間の記事一覧

Jコレクション 読破への道 その5 山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』

これまでのあらすじ☆ 第15回 文学フリマに出店します!! http://bunfree.net/ 日時 11月18日(日) 11:00〜17:00 場所 東京流通センター ブース 限界研 (エ-32) 新刊『genkai vol.2』は『渡邉大輔評論集』と『海老原豊評論集』の2本立て。エスエフのイ…

Jコレクション読破への道4 西島大介『凹村戦争』

これまでのあらすじ☆ 第15回 文学フリマに出店します!! http://bunfree.net/ 日時 11月18日(日) 11:00〜17:00 場所 東京流通センター ブース 限界研 (エ-32) 新刊『genkai vol.2』は『渡邉大輔評論集』と『海老原豊評論集』の2本立て。エスエフのイ…

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

これまでのあらすじ☆ 第15回 文学フリマに出店します!! http://bunfree.net/ 日時 11月18日(日) 11:00〜17:00 場所 東京流通センター ブース 限界研 (エ-32) 新刊『genkai vol.2』は『渡邉大輔評論集』と『海老原豊評論集』の2本立て。『海老原豊評…

ブラック★ロックシューター論〈空気系〉作品が隠蔽してきたものの暴露【評者:旭秋隆】

「制服切り刻まれて、心を刻まれるより、自分が切り刻まれるほうがマシだ!」 この台詞は主人公黒衣マトの友人、神足ユウが最終回で叫んだものだ。そして、この台詞はTVアニメシリーズ『ブラック★ロックシューター』で描かれていること、即ち、現代の若者、…

SF論争史にみる二項対立の運動−−巽孝之編『日本SF論争史』(勁草書房)

これまでのあらすじ☆ 第15回 文学フリマに出店します!! http://bunfree.net/ 日時 11月18日(日) 11:00〜17:00 場所 東京流通センター ブース 限界研 (エ-32) 新刊『genkai vol.2』は『渡邉大輔評論集』と『海老原豊評論集』の2本立て。そのうちの『…

『海老原豊評論集』■序文 批評の運動

文学フリマで販売する限界研の新刊『海老原豊評論集』より序文 ■序文 批評の運動 本書を貫く考え方は〈二項対立の運動〉である。 〈二項対立の運動〉は一昔前の言葉を使うとジャック・デリダという思想家が提唱した脱構築といえる。一見すると対立しているA…

第15回 文学フリマに出店します!!

第15回 文学フリマに出店します!! http://bunfree.net/ 日時 11月18日(日) 11:00〜17:00 場所 東京流通センター ブース 限界研 (エ-32) 新刊『genkai vol.2』は『渡邉大輔評論集』と『海老原豊評論集』の2本立て。 既刊『genkai vol.1』と『kluster…

ハヤカワJコレクション読破への道 第3回 深堀骨『アマチャ・ズルチャ』

アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 深堀骨出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/08/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 77回この商品を含むブログ (37件) を見る『ミステリマガジン』『…

早川Jコレクション読破への道 第2回 上田誠『曲がれ! スプーン』

これまでのあらすじ ゼロ年代の日本SFを牽引してきた早川書房のSF叢書シリーズ「ハヤカワJコレクション」。全作品読破&レビューを目指して、一人の男が立ち上がってみたものの…。 曲がれ!スプーン (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) (ハヤカワSFシリーズ…

ハヤカワJコレクション読破への道 第1回 伊藤計劃『ハーモニー』

前口上 ゼロ年代の日本SFを牽引してきた早川書房のSF叢書シリーズ「ハヤカワJコレクション」。全作品読破&レビューを目指して、一人の男が立ち上がった…。 ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2…

「Live Wire Biri-Biri酒場」にて『21世紀探偵小説』刊行記念イベント実施します!

観客と出演者が対話できるトークショーを数々と送り出してきた「Live Wire」が、この夏に専用のトークイベント会場となる「Biri-Bire酒場」をオープンしました。その会場ではすでにミステリ作家・竹本健治のトークイベントや書評界の黒船と噂される『文学少…

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」海猫沢めろん試論 第三回【評者:藤井義允】

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」 ――海猫沢めろん試論―― 評者:藤井義允 第三回 ●問題提起確認 さて長くなったが今回でいよいよ海猫沢めろんが描く物語とはどのようなものか結論づけていきたいと思う。前回までは、海猫沢めろんの諸作品から愛について…

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」海猫沢めろん試論 第二回【評者:藤井義允】

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」 ――海猫沢めろん試論―― 評者:藤井義允 第二回 ●問題提起確認 前回では海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート』から一つの問題提起を示した。それは、イメージやキャラクターといった理想や想像を愛する者は一体その何…

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」海猫沢めろん試論 第一回【評者:藤井義允】

「愛」じゃなくて「愛についての感じ」 ――海猫沢めろん試論―― 評者:藤井義允 第一回●はじめに 五月某日。朝日カルチャーセンターで開催された、海猫沢めろんと詩人・穂村弘のチャリティーを兼ねた講演会「愛についての感じ、ください」を聴講しに行った時の…

攻殻機動隊 stand alone complex solied state society論【評者:旭秋隆】

攻殻機動隊 stand alone complex solied state society論 ――対「大きな現実」戦争の前夜―― 文責:旭秋隆 1. 目標と分析の視座の設定 現在の我々の生活において、インターネットや携帯電話というメディア*1は最早、無くてはならない存在となっている。そのた…

ダ・ヴィンチ電子ナビ主催Twitter読書会のスペシャル座談会

ダ・ヴィンチ電子ナビ主催のTwitter読書会とは、毎回さまざまなテーマを設け、Twitter上で意見を交換する企画です。 第8回は「これからくるミステリー作家」をテーマに、活躍が期待されるミステリー作家や、その作品の素晴らしさについてツイートを募集して…

小森健太朗『探偵小説の様相論理学』レビュー【評者:蔓葉信博】

小森健太朗『探偵小説の様相論理学』 評者:蔓葉信博 ※諸事情あり、クロスレビューではありません。ご了承ください。 本書は『探偵小説の論理学』の姉妹編にあたるが、この本から小森の探偵小説論について読み進めてもらっても基本的に問題はない。『探偵小…

米澤穂信『ふたりの距離の概算』レビュー【評者:海老原豊】

米澤穂信『ふたりの距離の概算』(角川文庫) ゆっくりと確実に新陳代謝する古典部 評者:海老原豊 ※これは『21世紀探偵小説』所収の拙論「終わりなき「日常の謎」」では紙面の都合で詳述できなかった米澤穂信『ふたりの距離の概算』のレビュー。『21世紀探…

「日常」が成立しなくなった21世紀における「日常の謎」【評者:海老原豊】

「日常」が成立しなくなった21世紀における「日常の謎」 ―加納朋子、七河迦南、坂木司そして米澤穂信 評者:海老原豊 ※加納朋子「スイカジュースの涙」(『ななつのこ』所収)の結末に言及しています北村薫が『空飛ぶ馬』で〈円紫師匠〉シリーズを始めて以来…

巽昌章氏の「21世紀本格2」に対するご意見について【飯田一史】

飯田一史 巽昌章氏(https://twitter.com/kumonoaruji/ )よりTwitter上で拙稿「21世紀本格2」(『21世紀探偵小説』所収)についてのご意見をいただきましたので少し応答させていただこうと思います。巽氏が拙稿にくださったコメントは(文章の巧拙に関する指…

ウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』レビュー【評者:海老原豊】

ウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』断片化する/した世界のなかで 評者:海老原豊 ウィリアム・ギブスン。サイバー・パンクの旗手。 という認識だけだと足りない。 『ニューロマンサー』(1984年)『カウント・ゼロ』(86年)『モナリザ・オ…

映画『けいおん!』海老原豊レビュー【評者:海老原豊】

日常の空気に瀰漫した終わり 『けいおん!』から『氷菓』へ 映画『けいおん!』 評者:海老原豊 ――でもね、会えたよ 素敵な天使に 卒業は終わりじゃない これからも仲間だから これは、映画『けいおん!』で、唯たち卒業を迎える軽音部の3年生たちが、たった…

限界研4冊目の評論集『21世紀探偵小説』が刊行されます!

告知です。 明日、7月31日に限界研の4冊目の評論集『21世紀探偵小説』が発売となります。21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊作者: 飯田一史,海老原豊,岡和田晃,笠井潔,小森健太朗,蔓葉信博,藤田直哉,渡邉大輔,限界研出版社/メーカー: 南雲堂発売日…

野尻抱介『南極点のピアピア動画』クロスレビュー【評者:海老原豊】

野尻抱介『南極点のピアピア動画』 ウェブ的「集合知」からSF的「集団理性」への橋渡し ヴァーチュアル・アイドルが可能にする創造的コミュニケーション 評者:海老原豊 ニコニコ動画と思しきピアピア動画、初音ミクをもとにした小隅レイ。作中に登場する…

野尻抱介『南極点のピアピア動画』クロスレビュー【評者:蔓葉信博】

野尻抱介『南極点のピアピア動画』 評者:蔓葉信博 ニコニコ動画とどこか響きの似た「ピアピア動画」というタイトルや、表紙に初音ミクと思しきイラスト。こうしたものが、どこか不真面目でオタクっぽい雰囲気をまとっているように思える本書だが、実はSF…

耳目口司『丘ルトロジック4 風景男のデカダンス』【評者:宮本道人】

耳目口司『丘ルトロジック4 風景男のデカダンス』 評者:ドージニア道人 はじめに、本稿に進む前に一つ前置きしておきたいのだが、僕は、人を傷つける可能性が少しでもあるテロは、断じて許されるべきではないと思っている。しかし今回レビューする『丘ルト…

川又千秋『幻詩狩り』レビュー【評者:海老原豊】

川又千秋『幻詩狩り』 以下は、『SFマガジン』(2012年8月号)の「現代SF作家論シリーズ」掲載のトマス・ラマール「川又千秋論 時の渦巻き『幻詩狩り』」を訳出したことと、その後、ラマール氏本人が来日して開催された国際 SFシンポジウム・キックオフ…

『生者の行進』レビュー【評者:蔓葉信博】

石野晶『生者の行進』 評者:蔓葉信博 石野晶『生者の行進』が刊行されたとき、そのなかにはさまれていた投げ込みチラシには次のような紹介文が添えられていた。「SFでも、本格ミステリでも、ハードボイルドでもたぶんない新しいハヤカワ文庫JA」。そし…

飯田一史『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』クロスレビュー

評者:蔓葉信博 飯田一史『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』では、Amazonランキング一位を獲得したライトノベルについて論じられている。その考察の枠組みとして「ライトノベルの三層構造」や「成功要因」などが用いられており、評者は他のジャンルに同…

クロスレビュー企画の告知

定期コンテンツである「名作新作クロスレビュー」ですが、今回は諸事情あり単独の掲載となります。そもそも対象書籍である『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』は過去の特別企画で大々的に取り上げました。 そのため、今回は休止にするという判断もありえ…