限界研blog

限界研の活動や記事を掲載します。

笠井潔×藤田直哉『文化亡国論』評――ホールデン少年と殺し合う系の僕ら

笠井潔×藤田直哉『文化亡国論』評――ホールデン少年と殺し合う系の僕ら 旭秋隆文化亡国論作者: 笠井潔,藤田直哉,仮面女子出版社/メーカー: 響文社発売日: 2015/04/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る笠井潔・藤田直哉『文…

伊藤計劃以後としての野粼まど『know』――「知る」ことを巡る政治性の表現――【評者:旭秋隆】

このレビューは、11月4日の文学フリマで販売される『Genkai vol.3』の「伊藤計画を読むためのn冊」番外編である。本レビューで言及されているトークイベントの様子も『Genkai』に収録されている。 青山ブックセンターで行われたトークイベント『二十代評論家…

宮崎駿『風立ちぬ』【評者:旭秋隆】

風は、どこへ吹いているか ――皮肉な悲劇としての『風立ちぬ』―― 本論では、宮崎駿監督最新作『風立ちぬ』を扱う。本作は実在の人物である堀越二郎を主人公としている。そのため、これまでの宮崎駿作品とは一線を画しているといえる。堀越二郎はゼロ戦の制作…

『功殻機動隊ARISE』【評者:旭秋隆】

『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』 評者:旭秋隆 『攻殻機動隊ARISE』は、その時代設定が『攻殻機動隊』シリーズの最初期にあたる。シリーズの中心となる公安九課はまだ存在せず、本作の主人公である草薙素子も少佐と呼ばれていない。そのため、電脳…

ブラック★ロックシューター論〈空気系〉作品が隠蔽してきたものの暴露【評者:旭秋隆】

「制服切り刻まれて、心を刻まれるより、自分が切り刻まれるほうがマシだ!」 この台詞は主人公黒衣マトの友人、神足ユウが最終回で叫んだものだ。そして、この台詞はTVアニメシリーズ『ブラック★ロックシューター』で描かれていること、即ち、現代の若者、…

攻殻機動隊 stand alone complex solied state society論【評者:旭秋隆】

攻殻機動隊 stand alone complex solied state society論 ――対「大きな現実」戦争の前夜―― 文責:旭秋隆 1. 目標と分析の視座の設定 現在の我々の生活において、インターネットや携帯電話というメディア*1は最早、無くてはならない存在となっている。そのた…