これまでのあらすじ☆
第15回 文学フリマに出店します!!
http://bunfree.net/
日時 11月18日(日) 11:00〜17:00
場所 東京流通センター
ブース 限界研 (エ-32)
- 作者: 西島大介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/03/24
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (190件) を見る
西島大介の漫画家としてのデビュー作。文庫版あとがきに経緯は詳しいが、Jコレクションという小説レーベルが「漫画・書き下ろし・単行本」という枠を提供していなかったら、続く『アトモスフィア』でさらなる発展を見せた物語作家としての西島の潜在能力は、いまだに引き出されていなかったことは間違いない。
凹村。山に阻まれて携帯電話も、ラジオの電波も届かない隔離された小さな場所。頭上を頻繁に「何か」が東京のほうへと飛んでいくが、世界にあいた小さな「へこみ」にいる限り、何もできない。何もすることがない。主人公・凹沢は高校受験を控え、漠然とした閉塞感をもて余していた。そんな彼の目の前に、突如、空からX字型の巨大物体が墜落。手にした赤点の答案を吹き飛ばされた彼は、外の世界を意識し始める。
献辞の「二人のウェルズ氏に」とは、作中で主人公たちが手にする『宇宙戦争』の作者H・G・ウェルズと、そのラジオドラマ「火星人襲来」の脚本を書いたオーソン・ウェルズのこと。オーソンはずばり「凹村」だ。オーソン「火星人襲来」が田舎の村のリスナーをパニックに陥れたのは、都市と地方の格差ゆえだったが、凹村ではどうだろう。凹沢がいう「超平面的(スーパーフラット)」な日常は、都市から「へこむ」ことで、情報が遮断された結果もたらされる。ただし、ネットは繋がっていて、凹村も戦争に巻き込まれ、結局のところ「へこみ」は心理的なものでしかないのだ。かくして、オーソンから凹村という表音的連想(つまり駄ジャレ)は、凹という「へこみ」、つまり象形的表意をもつに至る。