全開レビュー
芸術諸ジャンルはそれぞれのリアリズム(写実主義)を持つ。絵画においても、文学においても、演劇においても、時代と場所を問わず「ほんもの」を追求しようとするプラントン主義的な行為は、必然的に特定の技法と連動し作品という結晶を生み出してきた。二…
耳目口司『丘ルトロジック4 風景男のデカダンス』 評者:ドージニア道人 はじめに、本稿に進む前に一つ前置きしておきたいのだが、僕は、人を傷つける可能性が少しでもあるテロは、断じて許されるべきではないと思っている。しかし今回レビューする『丘ルト…
石野晶『生者の行進』 評者:蔓葉信博 石野晶『生者の行進』が刊行されたとき、そのなかにはさまれていた投げ込みチラシには次のような紹介文が添えられていた。「SFでも、本格ミステリでも、ハードボイルドでもたぶんない新しいハヤカワ文庫JA」。そし…
西尾維新『悲鳴伝』書評 「歴史には残らない」 評者:飯田一史 !ネタバレありで書評するので未読の方はご注意を! 歴史に残る本ではない。 西尾維新は「戯言シリーズと物語シリーズの西尾維新」であって「『悲鳴伝』の西尾維新」になるような作品ではない。…
山形石雄『六花の勇者2』 評者:蔓葉信博 『六花の勇者 2』の話をする前に、まず前の巻である『六花の勇者』のあらすじを紹介しておこう。ミステリ的趣向には配慮しているので、ご安心されたい。 剣と魔法が力を持つ世界、人々は魔神と、凶魔と呼ばれる魔…
ままごと『テトラポッド』@あうるすぽっと 作・演出 柴幸男評者:海老原豊 『わが星』で2010年(第54回)岸田國士戯曲賞を受賞した、柴幸男の新作『テトラポッド』は ゼロ年代の終わり、10年代の始まりを予感させる芝居だ。 あの日、時間、あの災害、あの出…