限界研による5冊目の評論集が7月25日に発売します。
ミステリ『探偵小説のクリティカルターン』、セカイ系『社会は存在しない』、サブカル/戦争/表象『サブカルチャー戦争』、ふたたびミステリ『21世紀探偵小説』。
新刊のテーマはSF、新しい人間像〈日本的ポストヒューマン〉の探求。
いままでのメンバーに加え、新たにシノハラユウキ、藤井義允を限界研に迎え、それぞれ瀬名秀明、円城塔論を展開。
今回のゲストライターは、『輪るピングドラム』『魔法少女まどか☆マギカ』『エ/ヱヴァ』論を発表している山川賢一氏。
〈日本的ポストヒューマン〉を現代日本SFの特質ととらえ、活況を呈する日本SFの中核を担う作家(伊藤計劃、円城塔、飛浩隆、瀬名秀明、長谷敏司、宮内悠介)の作品を中心に論考する
現代日本SFでは以下の主題が数多く扱われている。「人間」「意識」「身体」「情報」「コミュニケーション」「生命」「AI」。これらは、全て、〈日本的ポストヒューマン〉とも言うべき主題の周囲を巡っている主題群である。これらの主題を並べ、その焦点を探るならば、そこには〈日本的ポストヒューマン〉とでも呼ぶしかないものへの探求と思索が見出せる。よって、現代SFを理解することは、「われわれ」が何であり、何になろうとしているのか、その手探りの最先端を知ることになるだろう。
目次
序論 日本的ポストヒューマンの時代(藤田直哉)
第一部 日本的ポストヒューマンの諸相「伊藤計劃以後」と「継承」の問題——宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』を中心に(岡和田晃)
カオスの縁を漂う言語SF——ポストヒューマン/ヒューマニティーズを記述する(海老原豊)
人間社会から亜人へと捧ぐ言葉は何か——瀬名秀明「希望」論(シノハラユウキ)
肉体と機械の言葉——円城塔と石原慎太郎、二人の文学の交点——(藤井義允)
新世紀ゾンビ論、あるいはHalf-Life(半減期)(藤田直哉)
第二部 浸透と拡散、その後アンフェアな世界——『ナウシカ』の系譜について(山川賢一)
虚構内キャラクターの死と存在——複岐する無数の可能世界でいかに死を与えるか(小森健太朗)
SF的想像力と映画の未来——SF・映画・テクノロジー(渡邉大輔)
科学幻視——新世紀の本格SFミステリ論(蔓葉信博)
ネット小説論——あたらしいファンタジーとしての、あたらしいメディアとしての(飯田一史)
付録 現代日本SFを読むための15のキーワード
南雲堂のウェブサイトから藤田直哉による序文が全文読めます。
最新の日本SFの動向をこれ一冊で理解できます。書評集やガイドブックとは異なる骨太(だが読みやすい)評論がつまっているので、現代日本SFの動向を通じ、現代日本、ひいては現代社会についても知ることができる作りになっています。ぜひご覧ください。
また、新刊出版と連動して、BookNewsで限界研メンバーによる「SF・評論入門」を週1で連載しています。