限界研blog

限界研の活動や記事を掲載します。

小森健太朗・新刊『神、さもなくば残念。』刊行!!

限界研の小森健太朗が、初のアニメ評論書を出版しました。


『神、さもなくば残念。――2000年代アニメ思想批評』(作品社)です。

ゼロ年代のアニメを包括的/小森健太朗視点で論じています。


壱部には「萌えの現象学」と題された、フッサール現象学を援用して「萌え」という本質に迫る論考があります。これは小森アニメ萌え哲学の序章といってもよいもので、今後、さらなる展開が期待されます。


第弐部以降では、「日常系」「空気系」「残念」といったゼロ年代に話題になったジャンルに分類される作品を網羅的に分析。


あるいは実写映画化で最近、話題になっている『図書館戦争』を、『ガンダムSEED』や『魔法少女リリカルなのは』とあわせて、ゼロ年代三大ガッカリ戦争描写アニメとして、世界設定の甘さやその背景を鋭く指摘しています。『探偵小説の論理学』で展開された「モナドロギー」論が、ここでも見られます。


最後を飾るのは『まどか☆マギカ』論。


いずれも丁寧な作品説明を交えての論考なので、該当作品を見ていない人でも十分に楽しめるものとなっています。


巻末には本書で論じられている作品が一覧となっていて、ゼロ年代アニメの流れを概観できます。今後、ゼロ年代アニメを論じていくときに、参照すべき文献のひとつとなるでしょう。ゼロ年代アニメファンが、自分たちのアニメ経験を言語化する助けとして本書は読むことができます。もちろんゼロ年代アニメの傑作を振り返って見て見たいという人にもオススメです。


あるいはミステリ作家・ミステリ評論家としての小森健太路のファンでも、十分に楽しめます。いたるところに炸裂する小森節が筆者=探偵としての小森健太朗を前景化させ、まるで探偵小説における謎ときのように、小森探偵がアニメ作品の謎に迫っていくからです。


ゼロ年代アニメ評論ですが、さまざまな楽しみ方が可能です。ぜひご覧ください。