こんにちは、『プレイヤーはどこへ行くのか』の執筆者のひとりである蔓葉です。
昨年末に発売されました『プレイヤーはどこへ行くのか』は比較的好評をいただいているようで、もっともなご批判をいくつか拝読しました。
この論集のように執筆者が手探りで調べてまとめた論考の場合、好評はもちろんのこと、具体的なご批判の指摘もまた有益だと思っています。
それは執筆者と同様の疑問や課題を調べる際の指針として第三者に機能すると考えるからです。
さて、まだ購入を迷っている方には向けにはガイダンス的に、読了いただいた方へのオマケ的な意味合いで、ざっくりと自分の論考を紹介したいと思います。
拙論では、今年で五周年を迎えましたスマートフォン向けアプリゲーム「LINE: ディズニー ツムツム」について、その成り立ちをふまえ、ある特性について論じるものになります。それはキャラクター商品の広告的機能についてです。
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先月12月に公開となった映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」。
この映画に登場するキャラクター、ヴァネロペとラルフなどが公開キャンペーンの一環として、事前に「LINE: ディズニー ツムツム」のゲームに組み込まれました。
残念ながら、2019年1月現在ではもうラルフたちのキャラクターのツムを獲得するキャンペーンは終了しておりますが、以降も不定期にツムのキャラクターとして手に入るはずです。
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このように、ゲームと映画の連携をキャラクターによって果たしているのです。
それゲーム内のいくつかの機能によって一種の広告となっているというのが拙論の主旨になります。
ちなみにゲームとは違いますが、類似した役割を果たしたテレビドラマがありました。
連続テレビドラマ「下町ロケット ゴースト/ヤタガラス」です。
このドラマでは、最終的に劇中で開発される無人トラクターに類似したクボタ製品「アグリロボトラクタ」CMが流されることで、虚実の皮膜が融解するような感覚を視聴者にもたらしました。
ドラマに寄生しているだけのテレビCMが、その瞬間、ドラマの内容を超えて現実化したかのような印象を覚えたことでしょう。
その感覚はサプライス的な演出で強化されたものですが、それもあって、ドラマ「下町ロケット」とクボタの「アグリロボトラクタ」は切っても切り離せない関係となりました(これはリアルタイムで視聴しないと体験できない、という意味でも画期的な方法だったと思います)。
わかりやすさを優先して、ゲームと話がややそれてしまいましたが、こうした効果的な広告手法を「LINE: ディズニー ツムツム」でも行っているというのが拙論の主張なのです。それが何に当たるかというのはぜひ本論をお読みいただければと思います。
そして『プレイヤーはどこへ行くのか』という論集は、本論からもイメージできるとおり、ゲーム論集と銘打っているものの、ゲーム自体の価値観の論述だけでなく、ゲームとその周辺メディアとの関係やプレイスタイルなど、広範な内容となっております。とはいえ、ド直球のゲーム論も収められておりますので、ご安心ください。
近年、ゲームに関する評論本は数多く出版されています。ただ、他にはない論集になったと自負できる内容かと思いますので、どうぞお手にとっていただけますと幸いです。